「 」

「じゃあ、いっせーのーで」
パクン。
そうして俺は、兄弟２人とともに河童寿司を口にした－

事の成り行きは、まああれだ。
親父の
「今日もロシアンルーレットするか！」
だった。

とある寿司屋で、俺は家族と寿司を堪能しいていた。
１０パーオフとかで、とにかく安くなるから今のうちに、と言うことだ。
何度かお世話になっているので、すっかりなじみになった俺たちは、
一度、前にロシアンルーレットをしたのだった。
河童寿司、中身はわさび。
前は６つにひとつ、そして
今回は

３人で３つ。つまり、一人１/3の確立。
俺は先日、弟とやりあった。
結果は、俺の負けだ。
なんとも情けないのだが、
弟が
「あ、なんか今ピリッと来た」
と言って、ならそれがあたりだろうと確信し、
俺は最後の一個を口にした。
しかし大将、いたずらが過ぎるぜ…
「～～～～～～～！」
俺は顔を左右に振り、唇の裏に張り付いた山葵を懸命に舐め、
烏龍茶を飲み干し、一命を取り留めた。

これは過去の話だ。そして今にいたる。
俺の目の前には、３つの河童巻き。
内、２つほど表面に山葵が塗られている。
先日もそんな感じで、まんまとだまされたわけだが、
俺は裏の裏を読んで、山葵が塗られていない河童をとった。

「いっせーのーで」
そんな掛け声。俺は河童を口にした。
最初のほうは余裕だったんだ。あれ？ちょっと辛いな～程度にしか思わなかった。
そんなこともつかの間、俺の口の中に、あの山葵独特の痛みが広がった。
尋常じゃないんだ。
「～～～～～～～～～～～～～～～～！！！！！」
顔を立て横と振り、眼鏡を外し、咀嚼できず麻痺した唇にお絞りを当て、
声なき声をあげ、烏龍茶を飲み干し、すばらしい気遣いでオカワリを即座にもらい、
ようやく落ち着いてきたら、皆が爆笑した。
とあるお客さんがつぶやいていたよ。
「ねえ、あれ本当にたくさん入っているの？（笑」
冗談じゃない。俺は死んだかと思ったぞ。
むしろ味覚障害起こせそうな麻痺だったぞ。
お客、店員、全員が爆笑の渦の中、俺はなみだ目だった。

















実話です